共有不動産が賃貸物件の場合のよくあるトラブル事例と解決法をご紹介

公開日:2021/01/15  最終更新日:2020/11/26

不動産が共有状態にあると何かとトラブルに発展する傾向があります。当初は単独所有でも相続が発生したことで後発的に相続人同士で共有状態になり、賃貸物件などの不動産の利活用を巡ってトラブルになる事が多いようです。共有持分売却を初め、色々な解決法の中からベターな対応策を模索することになります。

相続を契機に共有状態になった場合の基礎知識

被相続人所有の不動産は、死亡と同時に相続人の共有状態になります。観念的に相続分に応じて持分を取得するものと民法では考えられているからです。遺言書で相続人の指定がされていたり、遺産分割協議で相続人の一人の単独所有にすることも可能ですが、基本は相続人間で、持ち合う状態になります。

積極的に共有状態を解消するためのアクションに出ない限り、結果的に相続人同士が法定持分に従った割合で共有することになります。仮に相続財産に賃貸物件が含まれている場合は、入居者の決定・リフォームや賃料の収受、固定資産税の負担などあらゆる側面で、共有状態ならではの問題に直面することになるわけです。

複数の人間がモノを共有している場合について、民法では単独で構成できる場面と、過半数の持分を保有する共有者の賛同を要する管理行為、共有者全員の同意を必要とする処分行為の3つのカテゴリーについて規定しています。共有者間で足並みがそろわないと、一部の法律・事実行為が困難になったり、共有者の一人が身勝手な行動に出たりするとトラブルに発展する可能性は大いにあります。

土地や不動産などの不動産の利活用では賃貸物件として活用することが多いわけですが、第三者に賃貸する場面では共有者が単独で実行できる保存行為なのか、過半数の持分の同意が必要な管理行為なのか、全員同意が必要な処分なのかは大きな問題になります。

賃貸物件における契約締結や賃料収受

共有状態の賃貸物件で新規に賃貸借契約を締結する場合は、期間に着目して管理行為か処分行為に該当するのかを判断することになります。

まず借地借家法の適用を受ける場合は、共有者全員の同意が必要な処分行為にあたります。なぜなら借地借家法の適用があるということは、少なくとも30年以上の長期間賃貸に拘束され不動産の利活用が制限を受けるからです。

それ以外の短期賃貸借の場合(土地で5年・建物で3年)には、監理行員に該当するので過半数の持分の同意で足りると言うことになります。普通は1年単位で更新することになるので、仮にABCの3名が均等に持分を保有している場合は、Cが反対しても残りAB2名で契約を締結できるわけです。契約書に押印するAB2名の押印があれば法律上は問題ないことにはなります。反対しているCは有効に成立している賃貸借契約に拘束されることになるので、契約の名義人はABCと言うことになります。

それでは賃料収受の場面でのトラブルとしては、賃料を収受する代表相続人が他の相続人に持分に応じた賃料を支払わないというケースが典型的です。このようなときには賃貸借契約を変更して受領者を変更したり各自で請求するなどの解決法を模索する必要があります。実務的には共有者の一人が代表者として賃料を受領する形を取ることが多いわけですが、受領後の分配まで綿密にルールを決めておくことがトラブル回避につながります。

固定資産税を初めとした経費の負担を巡るトラブル

賃貸物件が共有の場合、賃料などの収入面はもちろん経費負担についても、トラブルに発展しやすいので注意を要します。通常の不動産では賃料の受け取り窓口になっている相続人が支払い、後日別の共有している相続人に求償する形になります。この際には賃料受け取り分と固定資産税などの経費分と相殺し、公平に経費を負担することになっているのが普通です。

ところが一部の共有者だけが経費を負担し、経費の支払にも応じない場合は、共有持分売却を求めるなどして解決法を検討する必要があります。この場合の共有持分売却は経費などの負担の請求をして1年間経過しても請求に応じないときに、経費などの負担分と求償金を相殺することで共有状態の解消を目指すと言うものです。この共有持分売却を利用することで、債権回収を図れると同時に好ましくない共有者との共有状態を解消することが叶います。

賃貸物件では物件の魅力を上げるために、リフォームを検討することもあります。賃貸物件であればリフォーム費用も相応の金額になります。とりわけ大規模修繕を伴うようなリフォームは、共有物の変更に該当するので共有者全員の同意が必要です。それに至らない規模のリフォームでも、管理行為に該当するので持分の過半数の同意が必要になります。トラブルを防ぐには事前にリフォームの見積もり・規模や内容などを書面で合意しておくのがベターです。

 

相続を契機に賃貸物件が共有状態になると、相続人間で利活用などを巡ってトラブルに発展することがあります。どうしても合意できないときは共有持分売却などの可能性を探る必要があります。それほどの事態に発展しないためにも、事前に賃貸物件の利用などについて書面を取り交わしておくなど予防策を立てておくのが賢明です。

おすすめ関連記事